対数正規分布とかの分布関数と密度関数

対数正規分布は数理ファイナンスをやっているとよく出くわす分布の内の1つである。
良く出くわすにも関わらず分布関数や密度関数の求め方を良く知らなかったのでまとめ。
対数正規分布に限らずもうちょっと一般的な何とか正規分布の密度関数も求められると思う。

軽く正規分布のお浚い。
確率変数Xが平均\mu分散\sigma^{2}対数正規分布に従うとする。このことを

X \sim N(\mu, \sigma^{2})

と書く。確率変数Xの分布関数と密度関数を\Phi_{X}(x), f_{X}(x)とすると、

\Phi_{X}(x) = \int_{-\infty}^{x}f_{X}(u)du,\quad f_{X}(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma} \exp\left( \frac{-(x-\mu)^{2}}{\sigma^{2}} \right)

である。正規分布の分布関数は陽には掛けないので密度関数の積分の形で表現される。

対数正規分布の場合は次のようになる。確率変数Yが平均\mu分散\sigma^{2}対数正規分布に従うとする。つまり、

Y \sim LN(\mu, \sigma^{2})

であり、
\log(Y) \sim N(\mu, \sigma^{2})
である。

X:=\log(Y)とおくと、
Xは平均\mu分散\sigma^{2}正規分布に従うから、
\Phi_{X}(x) = \Phi_{X}(\log(y)) = \int_{-\infty}^{\log(y)}f_{X}(u)du =: \Phi_{Y}(y)
とできる。\Phi_{Y}(y)対数正規分布の分布関数となる。
密度関数は分布関数の微分と考えれば、
\frac{d\Phi_{Y}(y)}{dy} = \frac{d\Phi_{X}(\log(y))}{dy} = \frac{1}{y}f_{X}(\log(y)) =: f_{Y}(y)
と求めることができる。

もう少し一般的に、確率変数YC^{1}級関数g(y)(つまり微分可能な関数)について、
g(Y) \sim N(\mu, \sigma^{2})
ならば、その分布関数と密度関数は、
\Phi_{Y}(y) = \int_{-\infty}^{g(y)}f_{X}(u)du,\quad f_{Y}(y) = (g(y))^{\prime} f_{X}(g(y))
となる。